第66回日本聴覚医学会総会・学術講演会

会長挨拶

第66回日本聴覚医学会総会・学術講演会 会長 小林 一女
 第66回日本聴覚医学会総会・学術講演会を昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座が担当させていただくことになりました。大変名誉なことで、この機会をお与えくださった学会役員の皆様、会員の皆様へ心よりお礼を申し上げます。本学会を昭和大学が担当させていただくのは第18回大会(岡本途也会長 1973年)以来、48年ぶりとなります。
 このたびは主題1に「軽度・中等度難聴に対する聴覚リハビリテーション」、主題2に「若年発症型両側性感音難聴」をとりあげました。軽度・中等度難聴は周囲より気づかれにくい反面、日常のコミュニケーションに支障をきたすことが多くあります。聴覚リハビリテーションとして本人、家族へのカウンセリング、補聴器による聴覚補償などがあります。若年者に対しては進学、就労など環境の変化に伴う聴覚補償、情報保障の調整、高齢者に対しては補聴意欲を引き出し、補聴器を適合させることが必要となります。軽度・中等度難聴に対する聴覚リハビリテーションの有用性、意義、問題点を議論したいと思います。若年発症型両側性感音難聴は指定難病の1つです。近年、遺伝子との関連が少しずつ明らかにされてきておりますが、病態解明には至っておりません。臨床像では緩徐に進行するものから比較的早く進行して重度難聴・聾になるものまで様々あり、原因遺伝子ごとに臨床像も異なります。難聴に対しては補聴器や人工内耳による補聴がおこなわれますが、病態は進行性であり、長期の観察・対応が必要となります。本疾患の臨床像、病態、聴覚補償の現状について議論したいと思います。
 主題に関する知識を深めていただくために、教育セミナーでは国際医療福祉大学、野口佳裕教授に「遺伝性難聴入門」、国立障害者リハビリテーションセンター病院、石川浩太郎先生に「聴覚障害者への公的支援」をお話いただきます。若手医師、言語聴覚士の先生方にも分かりやすく解説していただきます。
 特別講演は大阪大学大学院医学系研究科薬理学講座の日比野浩教授に「異分野連携による内耳基礎研究と難聴治療への展望」と題して講演を賜ります。日比野浩教授は大阪大学医学部耳鼻咽喉科のご出身です。蝸牛の生理学的解析と蝸牛の薬物動態を計測する世界発の技術についてもご講演いただきます。
このたびは主題に関連したシンポジウム「身体障害者に該当しない軽度・中等度難聴への補聴と支援」を行います。みみはなのど・あそうクリニック麻生 伸先生に「軽度・中等度難聴に対する社会的支援について」、岡山大学片岡祐子先生に「小児に対する補償と支援」、帝京大学三瀬和代先生に「成人・高齢者に対する補償と支援-溝口方式聴覚リハビリテーションの取り組み-」をお話いただきます。昨年に引き続き特別企画を用意しました。ご自身が人工内耳装用者でおられる県立広島大学保健福祉学部の佐藤紀代子教授に「聴覚障害児・者のコミュニケーション問題への対応」についてお話を伺います。一般演題は175演題の応募をいただきました。新型コロナ感染症終息の見通しがたたない中で、沢山の応募をいただき感謝しております。
学会が開催される10月の東京において新型コロナ感染症がどのようになっているのか、わかりません。医療従事者へのワクチン接種はほぼ終了していると思われますが、本学会も昨年同様会場での実開催とWEB開催とのハイブリッド開催を行います。実開催においては感染対策を十分に行います。WEB開催は指定演題、一般演題の全ての講演について行う予定です。また昨年はコロナ禍で開催できなかった補聴研究会、難聴遺伝子の研究会、聴覚生理研究会を10月21日木曜の夕刻に開催いたします。これらの研究会もハイブリッド開催の予定です。多くの先生方のご参加をお待ちしております。

第66回日本聴覚医学会総会・学術講演会
会長 小林 一女
昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座

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